外資の営業ノウハウ – 行動心理学を活用して営業のプロをめざそう

外資系企業では、利益の原動力である営業部隊の強化をめざして心理学的要素を組み入れたトレー二ングに力を入れています。

私が勤務した外資系企業では、DISC理論による性格診断テストというのを取り入れていました。

いくつかの質問に1〜5段階で答えていき結果が出ると、周りでは「あれっ、あの人と同じ性格なんだ」とか「外見とまったく違うね・・」といった会話が聞こえてました。

日本では性格診断というと、血液型占いや星座占いがすぐに思い浮かびますが、このDISC理論というのは1928年にアメリカの心理学者ウィリアム・M・マーストン博士が発表した論文「Emotions of Normal People (English Edition)(普通の人々の感情)」によって提唱された理論です。

このDISC理論による性格診断テストは、自分だけでなく相手の性格特性を知ることによって、チームビルディング(各人の性格特性を束ねて同じゴールをめざす組織づくり)や営業活動に活かすことができるため今でも欧米を中心に世界中で利用されています。

今回は営業アプローチの視点でDISC理論や顧客タイプの分類について説明します。

目次

DISC理論による4つの性格分類

DISCというのは、以下の4つの性格分類の頭文字をとったものです。

DISC

Dominant = 主導型:支配的、リーダー的な性格で即断・即決型、結果・結論を重視
Influential = 感化型:社交的、友好的な性格で話好き、他人への影響力や関係構築を重視
Steady = 安定型:人当たりがよく協力的な性格、現状維持・リスク回避を重視
Conscientious = 慎重型:慎重で懐疑的な性格、間違った判断を嫌うため情報の質と正確さを重視

この性格診断テストでは、4つのタイプに分類されるだけでなく、たとえば、感化型に近い主導型や慎重型に近い主導型といった形でより細かい結果がわかります。

私は非体育会系人間ですので、安定型か慎重型だろうと思っていましたが、結果は予想通り両方の要素が入った「慎重型に近い安定型」でした。

たとえば、IT営業の観点から見た場合、アプローチ先のキーパーソンが主導型の場合は既存システムを変えることや最初のユーザー(ファーストユーザー)になることに抵抗感がない一方で、安定型の場合は現状維持になる傾向が強いと言えます。

DISC理論を活かす営業アプローチ

前回の記事で、ミーティングの初期段階で関係者各人の「役割」と「動機」を見極める重要性について書きました。

この場合、インフルエンサーや導入推進者の性格までわかったら、営業活動がもっとスムーズかつ効率的になるでしょう。

実際、ミーティングでは、それぞれの性格に特徴的な行動(行動特性)を観察して性格タイプを推測することによって、効果的な営業アプローチが可能になります。

性格特徴的な行動効果的な営業アプローチ
主導型・話すときに大きなジェスチャーをとる
・動作が機敏
・詳細な資料よりビジュアルな形で要点を簡潔に伝える
・コストを含めて結論から先に話す
感化型・話すときや笑うときの顔の表情が豊か
・話好き、ユーモア好き
・注目してもらいたいことにフォーカスできるように要点をまとめる
・複数のアイデアや他社事例を選択肢として提示する
安定型・表情をあまり顔に出さない
・ソフトな語り口、聞き上手
・他社比較で優れている点を強調する形でプレゼン、デモを行う
・長期的なパートナーシップによるメリットに重点を置く
慎重型・直接的で詳細な質問をする
・腕組みをすることが多い
・データに裏付けられた詳細な情報・資料を提供する
・フェーズごとのスケジュールといった具体的な情報を提供する

ポイントは、自分の性格タイプを知ったうえで、相手の性格タイプに合わせて営業アプローチを変えることです。

さらに、営業テクニックとしてコミュニケーションをとる際に、声のトーン、スピード、リズムをそれぞれのタイプに合わせて変える工夫をすれば、より効果的なセールス活動が可能になります。

たとえば、

・営業担当者が感化型で相手も感化型—–>あえて聞き役に徹する
・営業担当者が安定型で相手が主導型—–>手振りをまじえながらテンポよく大きめの声でハキハキと話す

といった具合です。

余談ですが、時間的に忙しい経営幹部が相手の場合は、PowerPointによるプレゼン資料を使うより、(YouTuberのように)ホワイトボードで要点を書きながらプレゼンする方が効果的というコツをトレーニングで教わりました。

これを主導型の人に対して応用してもよさそうですね。

発展系①:DISC理論による性格分類 × 人相学

DISC理論による性格分類に見た目で判断できる「人相学」を加えれば、相手の性格をよりはっきりと見極めることが可能になります。

人相学と聞くと、なんとなく難しいイメージですが、基本的な部分を押さえれば十分です。

私は、大学を出て就職したときに営業に配属されたので、相手を見て判断できる材料がほしいと思って、櫻井大路著「観相」(ぱる出版/絶版)という本を買いました。

人の顔は逆三角顔(智型)、丸顔(情型)、四角顔(意地型)に大別されることや営業に成功するための心得などが書いてあり、今でもたまに読み返しています。

実際、逆三角顔の人はメガネをかけている人、四角顔の人は角刈りの人が多いというイメージがありますね。

ビジネスに特化した人相学については以下のオススメの本がありますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

顔を見れば9割わかる

見た目だけで人を見抜く技術 (PHP文庫)

発展系②:DISC理論による性格分類 × 人相学 × 県民性

上に書いたことの発展系として、生まれ育った環境に影響される「県民性」を加えてもおもしろいと思います。

以前、地方出張が多い時期があったので、ほぼ全国を回りました。そうした中で「地域性、県民性はやはりあるんだな」ということを実感しました。

2012年にプレジデント社の雑誌「PRESIDENT」が、”「県民性」の統計相性学”(PRESIDENT (プレジデント) 2012年 3/5号 [雑誌])という特集を組んだことがあり、営業しやすい県、営業しにくい県についての分析が載っていましたが、その通りだと思ったので今でも保存版として大事にとってあります。

まとめ

営業活動は、商品・サービスの良さも大事ですが、根っこの部分は「人対人」のコミュニケーションの積み重ねがうまくいくかがポイントです。

この意味でも、「営業職=体育会系、外向型人間」という考えはもう古いということになりますね。

いろいろな自分を演じることによって、いかに相手を心地よくさせるかという点を心がければ、きっと成約率アップにつながるでしょう。

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