成約率アップのカギ – 見込み客を効率的に管理するためのポイントとは

営業担当者がフォローを途中であきらめたり、成約の可能性が低いと評価した見込み客が、実は他社では大手顧客だったり、フォロー先の担当者が異動で変わったら急に成約まで進んだというケースがあります。

外資で営業職として働いて感じたことは、見込み客の管理が「日本企業よりも効率的だ」ということ。日本企業のやり方は、どちらかというと個人のやり方に依存して属人的ですが、外資系企業はグローバルに共通のシステムを利用して効率性・透明性を高めています。

今回は、外資で経験した効率的な見込み客管理のポイントについて紹介します。

目次

システムによる管理

外資では、世界中の営業担当者が自分たちの見込み客をグローバルに共通のシステムで管理しています。

システムに入力された情報は、上司や商品を管理するマネージャー、一緒にチームを組んでいる同僚にアクセス権が与えられており、いつでも見たいときにアクセスできるようになっています。

また、ダッシュボード(データを統合管理する画面)上で、営業目標(年間のターゲット、「ノルマ」のようなもの)に対しての進捗状況が円グラフや棒グラフで一目で把握できるようになっています。一方で、上司は各地域の営業担当者ごとの進捗状況を即座に把握できるようになっています。

外資では、直属の上司と毎週1-on-1という形の個別ミーティングを実施していますが、システムに入力された情報を共有しながら、見込み客に対する進捗状況や営業活動における課題・問題点の共有、上司からのアドバイス等が行われます。

見込み客とのやりとりを入力:「行動管理」の重要性

営業担当者は、それぞれの見込み客とミーティングやプレゼンをした際に、当日中(忙しければ、数日内)に

  • ミーティングやプレゼンを実施した日付
  • 双方からの参加者(役職名も入れる)
  • テーマ(=今後何が売れそうかという営業の観点を加味する)
  • 内容(=商品の説明やデモなど、何か実現・達成したこと)
  • 見込み客から入手した情報
  • フォローアップすべき宿題・課題
  • 次のステップ

といった情報をシステムに入力します。

同時に、参加者の役割と動機、ステージ分け(=どの段階にいるか)、成約のターゲット日をそのつど判断・修正して入力します。

参加者の役割と動機の重要性については、以下の記事にまとめています。

さらに、大手の見込み客にアプローチしている場合は、上司や経営層、関連部署のマネージャー向けに見込み客のビジネス概要、組織図、キーパーソン、承認プロセスなどをまとめたレポートを作成し情報を共有するところまでやれば完璧です。

見込み客の評価 :「ステージ分け」の重要性

それでは、見込み客がどのステージにいるかを判断する「ステージ分け」は、どんな条件・状況に基づいて判断するのかを簡単に説明します。

ステージ1

営業担当者が見込み客にアプローチしたばかりで、初回のミーティングをアレンジした状態。いわゆる「種まき」の時期。

この段階では、初回のミーティングで会社の紹介や扱っている商品のプレゼンをしただけで、可能性は0~25%に設定します。

その後、いくらコンタクトやミーティングを重ねても興味を示さず、継続したアプローチが困難な場合は、可能性0%という形にしてクローズします。

初回のミーティングで盛り上がった場合は、期待を抱くのも当然ですが、ミーティングで出てきた質問やリクエストのフォローアップを怠ると見込み客の熱がさめてしまいますので、この段階のやりとりがとても重要です。

私の経験では、ステージ1からステージ2に移行する比率は、見込み客5件~10件中1件くらいなので、いかにステージ1の見込み客を増やすかがポイントとなります。

ステージ2

初回のミーティング以降の質疑応答や詳細資料の提供などが継続し、見込み客も商品にさらなる興味を示してきた状態。

この段階では、見込み客の上層部や関連部署も含めてプレゼンやデモを行う状況になり、可能性は25~50%に高まります。

上司が海外にいる場合は、来日した際にミーティングに同行してもらい、見込み客の上層部にもアプローチします。

ステージ3

何回かのミーティングやプレゼン、デモを通じて、見込み客の課題や経営計画・プロジェクト計画といった具体的なビジネス要件に即した提案書(RFP)を提出した状態。いわゆる「刈り取り」の時期。

この段階では、可能性は50%以上となりますが、通常は競合他社も提案書を出しており、金額も含めて比較検討の材料となるので、気を抜くことは禁物です。

見込み客が本当に商品を購入する気があれば、提案書に対するフィードバックや質問、金額などの条件について交渉を行ってきますので、ここで次のステージ4に行きそうかどうかがわかります。

この段階では、直属の上司だけでなく、グローバル・ヘッドも巻き込んで成約に向けた社内交渉(特に金額面やカスタマイズ・開発の要否)も同時に行います。

この場合、それまで進捗状況を共有してきた上司が、営業担当者の側に立って上層部を説得してくれるので助かります。

ステージ4

見込み客側で競合他社と比較検討の結果、こちらの商品を採用する方針を決定し、ステージ3で交渉した条件に基づいて契約書の内容をすりあわせ、成約に至る段階。

通常は、この段階まで来れば可能性はほぼ100%になりますが、最後の最後で本国の方針変更でどんでん返しにあうケースもごくまれにあるので、楽観はできません(わたしも1回経験しました)。可能性は75%以上に設定。

この段階では、営業担当者はお互いの法務部の間に立って契約書の中身について交渉を行います。

外資系企業の契約書は通常英語なので、特に相手が日本企業である場合は、法務部が英文契約書に慣れていないこともあるので時間がかかる場合があります。

また、外資の法務部の責任者は通常アメリカやイギリスにいるので、時差を考慮するとどんなに急いでも最短で1か月はかかります。

この段階は、通常の営業活動と違って法律面でのやりとりになるので、フラストレーションがたまるかもしれませんが、間近に迫った契約締結に向けて一番充実した時期です。

まとめ

以上のように、外資流の見込み客管理はグローバルに共通のシステムによって効率化されていますが、結局システムそのもの(=箱)ではなく、各ステージにどれだけの見込み客(=中身)を抱えているかがポイントです。

当然、より多くの見込み客を抱えて営業目標を毎年達成する営業担当者が「仕事ができる人間」と判断され、実際に成約となれば汗を流した分に見合う満足のいく(時として予想以上の)セールス・コミッション(=ボーナス)をもらうことができます。

これが外資営業職の魅力、醍醐味であり、最大のモチベーションになります。

目次
閉じる