「風の時代」に予想される政治・社会の大きな変化

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2020年12月から始まった「風の時代」は、2023年頃から加速度的に「地の時代」的な組織・体制・考え方に対して強制的な変化あるいは破壊を迫るようになってきました。

例えば、2023年を振り返ると、ジャニーズ問題、ビッグモーター不正請求事件、宝塚歌劇団事件、ダイハツ不正問題など芸能界や企業の闇の部分が次々と露呈されました。これはパワハラ、厳しい上下関係、ノルマ、過度なプレッシャーといった「地の時代」から続いていた組織の古い体質に対して厳しい目が注がれた事例です。

政治面では、2023年11月に自民党のパーティー券を巡る裏金疑惑が発生しました。2022年の「政治と宗教」に続いて「政治とカネ」で自民党に対する信頼が大きく揺らぎ、2024年10月に実施された衆議院議員総選挙では自民党が大きく議席を失う形になりました。

今回は、2024年11月20日から始まった本格的な「風の時代」(=「冥王星水瓶座時代」新しい価値観・システム・組織・権力が出現する時代)の前後に見られた政治・社会の変化と今後の流れについて考察していきます。

目次

2022年〜2023年の振り返り

西洋占星術では、社会的影響力が強い天体として冥王星(破壊と再生)、土星(社会規範・規制・制限・試練)、木星(社会構造・政治・体制・繁栄・拡大)に注目します。

日本の政治イベント

2022年7月8日に発生した安倍元首相銃撃事件は、当初は「民主主義への挑戦」という捉え方が大勢を占めていましたが、真相が明らかになるにつれ「自民党と旧統一教会の関係」に焦点が当たるようになり、最終的に2023年10月13日に文科省が旧統一教会の解散命令を東京地裁に請求するに至りました。

この事件は冥王星が社会構造・権力・組織を意味する山羊座に、また土星が自由・革命・個性・平等を意味する水瓶座に滞在していた時期に発生したことで、単なる銃撃事件にとどまらず政権与党の闇の部分を白日のもとに晒す結果につながったとも解釈することができます。

また、自民党と連立政権を組む公明党についても、土星が浄化・終わりを意味する魚座に滞在していた時期(2023年11月15日)に公明党創立者で創価学会名誉会長の池田大作氏が死去したことから、今後の選挙における集票力に大きな影響が出てくる可能性があります。

一方、「風の時代」らしい動き(=女性が活躍する時代)として、2022年7月の参議院議員選挙や2023年4月の統一地方選挙において、女性当選者が過去最多となりましたが、この傾向は今後も続くと予想されます。

海外の政治イベント

海外に目を移すと、2022年11月に実施された米中間選挙後に、上院、下院で多数党が異なる「ねじれ議会」が発生しただけでなく、アメリカ社会の分断がより深まった状況になりました。

また、欧州では2019年5月に実施された欧州議会選挙において、中道右派と中道左派が初めて過半数割れとなり、リベラル派、環境保護派が躍進し、極右・ポピュリスト勢力が得票率をほぼ倍増させました。

中でも、フランスのマリーヌ・ル・ペン女史が率いる極右政党「国民連合(RN)」が約 25% (前回:6.3%)の得票率で24議席を獲得し、保守政党「国民運動連合(UMP)」(20.8%)と オランド大統領が率いる与党「社会党(PS)」(14%)を大きく引き離し第一党に躍進したことが、国内外で衝撃をもって受け止められました。

2024年11月からの本格的な「風の時代」に向けた動き



2024年11月まで冥王星は山羊座と水瓶座を行ったり来たりしましたが、これは今まで隠れていた真実が明るみになる中で、組織・権力・システム内の古い価値観が根底から見直され、新たな価値観が出現し広がることを意味します。

その後、2044年1月までの約20年間は水瓶座に滞在(=「冥王星水瓶座時代」)し、本格的な「風の時代」を迎えます。

日本の政治イベント

それでは、2024年の日本の政治イベントを考察します。

まず、2024年7月に東京都知事選挙が実施されましたが、既成政党の支持を受けずにSNSやライブ配信を駆使して急速に知名度を上げた石丸伸二氏(42)が無党派層を中心に165万8363票を得て善戦しました。これは、まさに「風の時代」的な動きだと言えます。

2024年前半は、岸田首相が9月の自民党総裁選の前に衆議院の解散総選挙を決断するかどうかが焦点になっていましたが、8月14日に次期自民党総裁選への出馬を見送ることを発表しました。

これを受けて、自民党総裁選が9月12日に告示され、前回(2021年9月)の総裁選と同じ2人の女性(高市早苗氏(63)、上川陽子氏(71))だけでなく、小林鷹之氏(49)や小泉進次郎氏(43)といった40代の政治家を含めて、現行の総裁公選規程では過去最多となる9人が立候補しました。

初の「女性首相」が誕生するのか、あるいは「地の時代」的な自民党の中で世代交代が加速するのか、といった点が特に注目されていましたが、9月27日の決選投票の結果、石破茂氏(67)が215票、高市早苗氏が194票となり、石破氏が1回目で1位になった高市氏を逆転し、新総裁に選出されました。

星回りの点からは、9月27日に冥王星(破壊と再生)と月(内面的な感情、心理状態)がオポジション(180度)を形成したことにより、決選投票の結果を受けて自民党内に恨みと猜疑心が生まれ、党内秩序のパワーバランスが崩壊することになったと言えます。

実際、石破氏は、高市氏に党総務会長の就任を打診しましたが、高市氏はこれを固辞したことから、今後何かをきっかけに党内不和が顕在化するリスクが指摘されています。

2024年最大の政治イベントである衆議院議員総選挙では、「地の時代」に権力を振るった自民党が247議席から191議席へと大きく減らし、政権与党が2009年以来となる過半数(233議席)割れ(279議席→215議席)となりました。

実際、このような結果に至らざるをえないような出来事や星回りが続きました。まず、10月9日に石破茂首相らによる選対本部会議を党本部で開き、裏金事件に関係した計12人を公認しないと決めましたが、旧安倍派を中心に党内から反発が広がり、遺恨や確執といった感情的な亀裂を抱えて選挙戦に突入する形になりました。

その後、10月12日に冥王星(破壊と再生)が山羊座(社会構造・権力・組織)で順行に戻ったことで「地の時代」の終焉を迎える段階に入りましたが、10月14日から11月3日まで水星(コミュニケーション)が蠍座(洞察力、破壊と再生)に滞在したことから、候補者や政党の考え方を見極める際に本質・背景や真実を見極める風潮が一層強まりました。

さらに、10月22日に蠍座に滞在中の水星が、魚座に滞在する土星とトライン(120度)を形成し、23日には太陽(本質)が蠍座に移動したため、27日の投開票に向けて「政治とカネ」の問題がより一層クローズアップされる流れが大きくなりました。

奇しくも、23日に自民党が裏金事件で非公認となった候補が代表を務める党支部にも、政党助成金2000万円を振り込んだというニュースが流れましたが、自民党の「地の時代」的な体質である「政治とカネ(裏金)」「金権政治」に対する国民の怒り、憤りが大きなうねりとなったと言えます。

投開票が行われた10月27日は土星が魚座(浄化、終わり)に木星が双子座(風のエレメント)に滞在していたことから、自公過半数割れは必然の結果だったかもしれません。

こうした中で、国民民主党は玉木雄一郎代表(55)がSNSを駆使して無党派層の心をつかみ、公示前の7議席から4倍の28議席に大躍進したことが注目されます。

また、「風の時代」的な流れとして、女性の当選者が過去最多の73人に上り、2021年の前回選(45人)から28人増え、全当選者に占める女性の割合も15.7%と過去最高となり、前回選の9.7%から6ポイント増えたことを挙げることができます。

来年の選挙に向けた動きとしては、7月の東京都知事選でSNSを駆使して支持を広げた石丸伸二氏(42)が11月12日に2025年夏の都議選に向けて新党を結成する考えを表明しました。

11月17日に実施された兵庫県知事選挙では、SNSの発信力を最大限に活用した前知事の斎藤元彦氏(47)が再選を果たしましたが、有権者の主要メディアに対する不信感が背景にあったことが指摘されています。

2025年7月28日までに、参議院議員の任期満了に伴う選挙が行われる予定ですが、すでに本格的な「風の時代」に移行していることから、SNSの活用による若年層・無党派層の取り込み、世代交代の流れ(40〜50代の台頭)、女性議員比率の上昇を背景に政治体制の大きな変革が起きる可能性が高いでしょう。

海外の政治イベント

次に、海外を見てみると、2024年は70か国以上、合計40億人以上の有権者を対象に選挙が実施される史上最大の選挙イヤーでした。

注目される選挙として、まず1月13日に台湾総統選挙が実施されました。

対米関係を重視する与党・民進党の頼清徳氏、中国寄りの最大野党・国民党の侯友宜氏、二大政党の打破を掲げる野党第二党・民衆党の柯文哲氏が争う構図が焦点となり、選挙結果次第では米中間の緊張が高まるだけでなく、日本もその中に巻き込まれるリスクが予想されていました。

選挙の結果、与党・民進党の頼清徳氏が550万票を超える票を獲得し、野党の2人の候補者を破って当選しました。一方、同時に実施された議会・立法院の選挙では民進党が過半数を維持できなかったことから、頼氏は今後厳しい政権運営を強いられることになりそうです。

インドでは、6月4日に開票された下院総選挙の結果が、与党連合の圧勝という事前の予想と大きく異なり、モディ首相率いるインド人民党(BJP)は 前回2019年の303議席から今回は過半数に満たない240議席へと大きく後退しました。

この結果、連立政権となるモディ政権は、従来のトップダウン型の政権運営の変更を迫られる可能性があります。

次に、木星が双子座(風のエレメント)に滞在中の6月6日から9日に全27か国で欧州議会選挙が実施されました。

以下の表にあるように、2022年以降欧州各国で右派・ポピュリスト政党を含む極右が勢いを増してきましたが、2024年3月に実施されたポルトガルの総選挙では極右政党「シェーガ」(CHEGA)が躍進し議席をこれまでの4倍に伸ばし、オランダでは2023年11月の下院総選挙で第一党となった極右の自由党(PVV)が主導する形で7月に4党による連立政権が発足しました。

欧州議会選挙の開票作業の結果、第1会派でウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が属する中道右派の欧州人民党(EPP)が議席を増やし最大会派の地位を維持しましたが、極右・右派などの欧州連合に懐疑的な勢力が議席を伸ばした一方で、中道リベラルの欧州刷新(RE)と左派の欧州緑グループ・欧州自由連盟(Greens-EFA)が大きく議席を減らしたことが注目されます。

特にフランスでは移民流入への反感や年金改革、根強いインフレなどへの不満から、ル・ペン党首率いる極右の国民連合(RN)が31.4%の票を得て、マクロン大統領が所属する与党連合(14.6%)を大きく引き離しました。これを受けてマクロン大統領は、フランス国民議会(下院)の解散総選挙を宣言し、6月末に下院選挙の第1回投票が行われた結果、国民連合が下院で最大勢力をうかがう勢いとなりました。

その後、7月7日に決選投票が実施され、野党の左派連合「新人民戦線」(NFP)が182議席を獲得し最大勢力となり、マクロン大統領率いる与党連合は解散前の250議席から168議席に大幅に減らしました。
一方、極右政党として戦後初の第一党となるかが注目された「国民連合」は事前予想に反して3位にとどまりました。

12月4日には、フランス国民議会(下院、577議席)が、ミシェル・バルニエ首相率いる内閣の不信任決議案を賛成多数で可決しました。これを受けて、バルニエ内閣は発足からわずか2か月半で崩壊することとなりました。2025年7月までは新たな国民議会選挙を実施することはできないため、単独過半数を獲得した政党が一つもない現在の政局の混迷が長期化するとの見方が強まっています。



前回の冥王星水瓶座時代(1777〜1798年)には、フランス革命(1789〜1795年)が起きたことを考えると、今回もフランスの動向からは目が離せないと言えるでしょう。

また、ドイツにおいてもショルツ首相率いる中道左派の社会民主党(SPD)が、中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)、反移民を掲げる右派のドイツのための選択肢(AfD)に次ぐ過去最低の得票となりました。

こうした中、右派のドイツのための選択肢(AfD)が16歳〜24歳の若年層からの得票を伸ばしたことが注目されており、この理由として、短い動画をシェアするTikTokをドイツの政党の中で最も有効的に活用していることが挙げられています。このようなSNSの活用はまさに「風の時代」的な動きだと言えます。

その後の動きとしては、11月6日にショルツ首相が経済政策を巡って自由民主党(FDP)のリントナー財務相を解任したことに伴い連立政権が崩壊することになりました。12月16日には、2005年以来19年ぶりに首相信任投票が行われ、信任案が反対多数で否決されました。これを受けて、シュタインマイヤー大統領は議会を解散し、2025年2月23日に総選挙が実施される予定です。

現時点で、公共放送ARDの世論調査によると、最大野党会派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が支持率でショルツ首相の社会民主党(SPD)を大きくリードしていることから、政権交代の可能性が高いと予想されています。

オーストリアでは、2024年9月29日に国民議会(下院、183議席)の総選挙が行われ、反移民などを訴えた極右親ロシア政党の自由党(FPÖ)が1956年の結党以来、初めて第一党となりました。

また、ルーマニアでも右派回帰が鮮明となっています。2024年12月1日に行われた上下両院選では、下院においては右派のルーマニア統一同盟(AUR)が議席を33から64にほぼ倍増させ、第四党から第二党に大きく躍進しました。

以上見てきたように、欧州政治の混迷は一段と深まっており、2024年11月からの本格的な「風の時代」以降も欧州各国で政権交代や右傾化・極右化がさらに進む場合、EU崩壊シナリオが現実味を帯びることから、この先5年ごとに行われる欧州議会選挙の動向に注目すべきです。


イギリスではすでに本格的な「風の時代」の政治を先取りする動きがありました。7月4日に行われた下院の総選挙において、定数650議席のうち、労働党が411議席を獲得し、選挙前に比べて議席数を2倍近く増やし、単独で過半数を獲得しました。これにより、保守党から労働党へ2010年以来14年ぶりの政権交代となりました。



2024年最大の政治イベントと言える11月5日の米大統領選挙は、2024年11月20日からの本格的な「風の時代」の直前に実施されましたが、トランプ前大統領が大手メディアによる直前の予想に反して圧勝(トランプ 312、ハリス 226)しました。

米大統領選挙投票日に至るまでアメリカ社会の分断と混乱が危惧される中、火星(トラブル、争いごと)と天王星(想定外の変化)のコンジャンクション(0度)の影響が及ぶ期間(7月6日〜24日)において、まず7月13日にペンシルバニア州でトランプ前大統領銃撃事件が発生し、その後21日にはバイデン大統領が大統領選から撤退し、ハリス副大統領を後任候補として支持する考えを表明しました。

当初の勢いを考えると、ハリス副大統領が米国史上初の女性大統領となる可能性もありましたが、「女性大統領の誕生」は本格的な「風の時代」に入ってからになりそうです。

ところで、トランプ前大統領が圧勝した要因として 人気ポッドキャストに出演して若年層(特に男性層)に訴える戦略を採ったことが指摘されています。これは、まさに「風の時代」的な動きに沿った戦略と言えます。

10月26日にトランプ前大統領は、影響力のあるポッドキャスターとして有名なジョー・ローガン氏と多岐にわたるテーマで3時間近くも語り合いました。YouTubeで公開されると、視聴回数は最初の24時間で2000万回を超え、大統領選後の11月20日時点で5000万回を超えています。

参考までに、大統領選挙当夜に最も多くの視聴者を集めたニュースチャンネルはFOX Newsでしたが、それでも全米で980万人だったことを考えると、いかに多くのアメリカ人がトランプ前大統領が出演したポッドキャスト番組を視聴していたかがわかります。

本格的な「風の時代」において、横のつながりが重視される傾向が強まりますが、日本も含めて選挙戦におけるSNSの活用は今後さらに重要なポイントとなることが示唆されています。


最後に注意すべき点があります。前回の冥王星水瓶座時代には、アメリカ独立戦争(1775〜1783年)が起きたことを考えると、今回はトランプ次期大統領が強権的な政権運営を目指す「トランプ革命」になる可能性や、最悪シナリオとしては一部で言われているようにアメリカ内戦革命の可能性もゼロとは言えません。

おわりに

2024年1月1日からBRICSが従来の5か国から10か国(新規加盟国:アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラン、エジプト、エチオピア、アルゼンチンは2023年12月に加盟を撤回)に勢力を拡大しました。


これは、従来のアメリカの強大な権力に基づく「地の時代」的な一極体制から、「風の時代」的な横のつながりを重視する多極的協調体制の方向を目指し、経済的には米ドル覇権から脱却してアメリカに対抗する勢力を構築しようとする動きと捉えることができます。

つまり、「アメリカの時代」が終焉を迎え、世界の権力構造が大きく変容する可能性を示唆していると見ることができるでしょう。

以上見てきたように、「風の時代」(特に「冥王星水瓶座時代」)には、国ごとの政治体制・社会構造の変化だけでなく、グローバルな視点で権力構造の変化を考える必要があります。

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