「地の時代」の終焉 – 「風の時代」の到来を告げる新しい価値観の広がり

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2020年12月22日に、今までの「地の時代」からこの先約200年続く「風の時代」に移行しました。「地の時代」はお金や土地といった富を重視する世界(物質的な安定を求める意識)ですが、「風の時代」になるとITネットワークを通じて個人の知性、アイデア、創造性、思想、情報を共有する世界(関係を横に広げる意識)が今まで以上に加速しそうです。

1980年末から2000年5月までの20年間の「風の時代の前触れの時期」を振り返って見ると、これからの本格的な「風の時代」を予感させるインターネットの登場が一番大きな出来事でした。

また、以下の図表が示すように「風の時代の前触れの時期」が始まった1980年頃から「物の豊かさを重視」する生き方よりも「心の豊かさを重視」する生き方を望む人が多くなり、2000年5月からの「地の時代」に移行した後もさらに多くなっています。

(出所)国土交通省「令和元年版 国土交通白書」 第I部 第1章 第3章 日本人の感性(美意識)の変化

コロナショックをきっかけとして、世界中の人々が急激な環境変化を経験する中で、「風の時代」では今までの「地の時代」型の生活様式(ライフスタイル)や働き方、さらには一人一人が拠り所としていた思考方法、価値観まで変えざるをえない状況になるでしょう。

目次

新しい生活様式 – 都会から郊外・地方へ

新しい生活様式については、都会から郊外・地方へという流れが今後ますます進んでいくことが予想されます。

ニューヨークの中心地マンハッタンでは、アパートの空室物件が2020年7月に前年同月比2.2倍の13,117件と過去14年間で最多を記録しました。(前月比では+2,328件)

その後、2020年 10月に16,145件(前年同月比 3.2倍)まで上昇した後に頭打ちとなりましたが、2021年2月は11,750件(前年同月比 2.5倍)と前年同月比で見ると増加傾向が続いています。

一方、空室率は10月に初の6%台(6.14%)に乗せた後、2020年11月の6.14%から2021年2月の5.0%まで低下していますが、コロナ以前の2%近辺のレベルから見ると引き続き高水準となっています

コロナの影響でテレワークによる働き方が主流になる中で、職場の近くに住む理由がなくなり、密集した都会生活への関心や憧れが薄れた結果、人口流出の勢いが加速しているようです。

一方で、都会から郊外の住宅に移り住む流れが強まる中で、特に新築一戸建て住宅に対する需要の高まりを背景に、以下のチャートが示すように建築資材となる木材価格が2020年9月中旬にかけて高騰しました。その後、7月上旬の水準まで下落する局面がありましたが、足元では2020年の高値を上回る水準で推移しています。

(出所)https://www.nahb.org/news-and-economics/housing-economics/National-Statistics/Framing-Lumber-Prices

日本では、2020年8月21日に国土交通省が発表した全国主要都市100地区を対象とした2020年第2四半期(4月1日~7月1日)の地価動向調査(地価LOOKレポート)によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うホテルや店舗の需要減退と取引停滞が影響し、下落は前回(4月1日)調査の4地区から38地区へ増加した一方で、上昇は73地区から1地区へ激減しました。

地域別では地方圏に比べて三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)での下落が顕著で、特に名古屋圏では対象9地区すべてが落ち込んだのが目立っています。

その後、11月19日に発表された第3四半期の地価動向調査(地価LOOKレポート)(10月1日調査)によると、新型コロナウイルス感染症の影響により、ホテルや店舗等の収益性低下による需要の減退が一部で見られた結果、上昇は前回と同数の1地区、横ばいは61地区から54地区に減少した一方で、下落が38地区から45地区に増加しました。

さらに、2021年2月24日に発表された第4四半期の地価動向調査(地価LOOKレポート)(1月1日調査)によると、上昇が15地区(前回1地区)と大幅に増加し、横ばい地区が47地区(同54地区)、下落も38地区(同45地区)と減少しました。

住宅地は、マンションの堅調な販売状況や事業者の素地取得の動きが回復したことにより、需要が堅調な地区が見られました。

商業地では、再開発事業の進展等により、需要の回復が一部の地区で見られた一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、ホテルや店舗等の収益性の低下により下落が継続している地区や、店舗やオフィスの空室が増加し新たに下落に転じた地区も見られました。

ところで、総務省が2021年3月25日に公表した2021年2月の人口移動報告(外国人含む)によると、コロナの感染拡大に伴うテレワークの広がりなどを背景に、東京都の人口移動状況は2020年7月に2522人の転出超過(=人口流出)となってから、8か月連続の転出超過(合計 25,398人)となっています。(下のグラフ参照)

また、東京都特別区部(東京23区)だけで見ると、8か月合計で33,696人と東京都全体を上回る転出超過が続いています。

(出所)総務省 住民基本台帳人口移動報告より筆者グラフ作成、単位:人、マイナスは転出超過

東京の近隣の神奈川、埼玉、千葉(ただし、千葉は2020年12月から3か月連続の転出超過)への転出が増えており、総務省は「通勤する必要性が低下し、都心から郊外への住み替えが起きている可能性も考えられる」としています。

上に書いたマンハッタンの状況ほどではないにせよ、「心の豊かさを重視する生き方」=「ゆとりのある生活」を求めて若い世代を中心に都会から郊外または地方へという流れが日本でも徐々に顕在化し、さらに加速化するのではと予想しています。

次回の2021年3月の人口移動報告は、4月27日に公表予定です。

例年3月は引越しシーズンに伴い、東京都の人口が大きく増加(2020年3月は40,199人の増加)しますが、次回はどのような数字になるのかが注目されます。

新しい働き方 – テレワークの導入

新しい生活様式のベースとなる新しい働き方は、コロナの影響で半ば強制的に導入・促進されたテレワーク(在宅勤務)によって世界的に広がりつつあります。

以下の図表の調査時期は少し古いですが、日本のテレワーク導入状況は国際的に低い状況でした。コロナショック以降にどうなったかがポイントですが、緊急事態宣言が2020年5月25日に解除されてから残念ながら以前の会社通勤が復活したところが多いようです。

(出所)国土交通省「令和2年版 国土交通白書」第I部 第3章 第5節 新技術をさらに活用するために

東京都が従業員数30人以上の都内企業1万社に対して2020年3月と4月に行ったテレワークの導入状況アンケート調査によると、4月時点のテレワーク導入率は62.7%となり、3月時点の調査(24.0%)に比べて2.6倍に大きく上昇していました。

緊急事態宣言が解除された2020年5月25日以降の6月30日に実施した調査では、テレワーク導入率は57.8%に低下し、折角導入したテレワークを取りやめた企業もあったようです。

その後、2020年12月に51.4%まで低下しましたが、2回目の緊急事態宣言発令中の2021年1月7日〜1月15日に実施された調査では57.1%に上昇し、1月27日〜2月2日に実施された調査では63.5%まで上昇しました。

理由はどうであれ、今後、テレワークを導入・実施していない企業は、社員やその家族の健康や安全を重視していないということで、人の採用が難しくなるといったマイナス面の影響が出てくるだろうと予想しています。

さいごに

「死と再生、生まれ変わり、破壊と再構築」を意味する冥王星は、以下のような形で山羊座と水瓶座を行き来しますが、本格的な「風の時代」は、冥王星が「自由・革命・テクノロジー・予想外の動き」を意味する水瓶座に移動する2024年11月25日から始まります。

2008/1/26射手座から山羊座へ
2008/6/14山羊座から射手座へ
2008/11/27射手座から山羊座へ
2023/3/28山羊座から水瓶座へ
2023/6/6水瓶座から山羊座へ
2024/1/23山羊座から水瓶座へ
2024/8/28水瓶座から山羊座へ
2024/11/25山羊座から水瓶座へ
(=本格的な「風の時代」へ)

「地の時代」に産業革命を契機に資本主義が発展しつつ、同時にいくつかのバブル → バブル崩壊を繰り返し、貧富の差の拡大、富の偏在が顕在化しましたが、冥王星の影響が強まる本格的な「風の時代」には資本主義の修正・変容が避けられないでしょう。

そのきっかけとなるのが、「ベーシックインカム(最低所得保障)」の導入や「中央銀行デジタル通貨」の導入になると見ています。

そう言えば、日銀は2024年度上期をめどにデザインを変更した新紙幣を発行する予定ですが、もしかしたらこのタイミングで「デジタル通貨」の導入をめざしているかもしれませんね。

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