2020年1月からコロナ感染者が世界中で急増する中ですっかり影が薄くなってしまいましたが、1月12日にフィリピンのルソン島南部にあるタール火山が1977年以来43年ぶりに噴火したというニュースが流れていました。
そう言えば、2020~2021年は太陽黒点数が極小期ですので、大地震や火山噴火が起きるかもしれないという不安を感じます。
一般的に、火山が噴火すると地表に到達する太陽放射量が減少するため、気温の低下 → 冷害、凶作、飢饉につながると言われています。そして、火山の噴火は太陽黒点数の極大期または極小期の前後に起きる傾向が強いことが統計的に確認されています。
太陽黒点数と火山噴火の関係
全体的な傾向としては、太陽黒点の極小期に火山噴火が起きることが多いようです。そして、噴火が大規模であれば日本を含めて世界的に気温低下をもたらすことに驚かされます。
また、いくつかの火山噴火は凶作や飢饉だけでなく、その前に大地震を伴っていたり、それまでの政治体制の不安定化要因になりフランス革命や明治維新といった新たな体制への転換につながったりしたケースもあります。
余談ですが、民主党政権時の東日本大震災と原発事故をめぐる対応への批判・失望が自民党政権への転換の遠因になったことを考えると、今の自民党政権によるコロナ対策が今後どちらにころぶかを注視しないといけません。
話をもとに戻しますと、太陽黒点数が著しく減少した1645年〜1715年は「マウンダー極小期」、太陽活動が低下した1790年〜1830年は「ダルトン極小期」と呼ばれており、この時期に重なった江戸時代は寒冷な時期が続き、異常気象や火山噴火などで凶作や飢饉が多かったようです。
(出所)Wikipedia 「マウンダー極小期」より
以下の表は、1700年前後からの太陽黒点数と大規模な火山噴火およびその影響をまとめたものです。
太陽黒点数 | 火山噴火 | 影響 | 備考 |
---|---|---|---|
マウンダー極小期 1645~1715 | 1693 アイスランド へクラ火山 | 1695~1697 フィンランドと エストニアの大飢饉 | |
1693 モルッカ諸島 セルア火山 | 1695 / 1702 元禄の飢饉 | 1703 元禄関東地震 M8.2 | |
1707 宝永大噴火(富士山) | 1708~ 広範囲の降灰被害 二次被害 | 1707 宝永地震 M8.4~8.6 | |
極小期 | 1754 フィリピン タール火山 | 1754~1757 宝暦の飢饉 | |
極小期 | 1755 アイスランド カトラ火山 | ||
極小期 | 1783 浅間山 | 1783~1788 天明の大飢饉 | 1782 天明小田原地震 M7 |
極小期 | 1783 アイスランド ラキ火山 | 1788 フランスの飢饉 | 1789 フランス革命 |
ダルトン極小期 1790~1830 | 1815 インドネシア タンボラ火山 | 1816~1817 北米・ヨーロッパ 「夏のない年」 | |
極小期 | 1833 グアテマラ アティトラン火山 | 1833~1839 天保の飢饉 | 1868 明治維新 |
極小期 | 1835 ニカラグア コセグイナ火山 | ||
極大期 | 1883 インドネシア クラカタウ火山 | 1884 明治17年凶作 | |
極小期 | 1902 西インド諸島 スーフリエール火山 | 1902 明治35年凶作 | |
極小期〜極大期 | 1902~1906 グアテマラ サンタマリア火山 | 1905 / 1906 明治38年・39年凶作 | |
極小期 | 1912 アラスカ カトマイ火山 | 1913 大正2年凶作 | |
極小期 | 1955 カムチャツカ半島 ベズイミアニ火山 | 1952 カムチャツカ地震 M9.3 | |
極大期 | 1960 チリ コルドン・カウジェ火山 | 1960 チリ地震 M9.5 | |
極大期 | 1980 アメリカ セントへレンズ火山 | 1980 昭和55年凶作 | |
極大期 | 1991 フィリピン ピナツボ火山 | 1993 平成の凶作 | 1990 ルソン島地震 M7.8 |
コロナの次は自然災害のリスク
最近、日本各地で地震が頻発していますが、大地震が火山噴火を誘発すると言われています。
やはり富士山が一番気になりますので、過去を振り返ってみると平安時代の「貞観噴火 → 貞観地震」のケースもありますが、お互いリンクしていることは確かなようです。
・864年〜866年 貞観噴火 → 869年 貞観地震 M8.3以上 → 878年 相模・武蔵地震 M7-7.5 → 887年 仁和地震 M8-8.6
・1707年10月 宝永地震 M8.4-8.6 → 1707年12月(49日後) 宝永大噴火
ところで、ニュースを調べていたら、「2020年3月31日に政府の中央防災会議作業部会が1707年の宝永噴火(富士山)をベースに火山灰による首都圏の被害想定を初めて公表した」というのが目に留まりました。
コロナの時でさえ、日本ではロックダウン(都市封鎖)にならないのに、富士山噴火の場合は火山灰が微量でも鉄道が運行停止、物資の配送が滞って人の移動も限られる、など実質的にロックダウンと同じ状態になるという印象です。これだけでなく、水道水が飲めなくなったり断水・停電になったりといったおそろしいシミュレーションです。
(出所)中央防災会議 防災対策実行会議 資料1-4より
気象庁のホームページによると、日本には活火山が111もあり、そのうち24時間体制で常時観測・監視している火山が富士山を含めて50火山もあります。
コロナはいずれワクチンで対応可能ですが、大地震や火山噴火といった自然災害は避けようとしてもどうしようもない・・・これが一番つらいところです。
さらに、最悪のシナリオは、過去の歴史が示すように火山噴火が世界的な気温低下を引き起こして、農作物が不作・凶作になり、食糧危機につながることです。
ただでさえ、コロナの影響で食糧輸出を制限する国が続出していることを考えると、食糧輸入国である日本も将来的に食糧危機の影響を受ける可能性はゼロではないような気がします。
まとめ
日本は、北米プレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートの4つのプレートの上に乗っかっている世界に類のない火山列島だという認識で、太陽黒点数が極小期の今こそ、コロナ対策だけでなく自然災害に備えて普段より備蓄を厚めにしておかないといけません。
(出所)気象庁ホームページ
天災は忘れた頃にやってくる