日本の大地震発生リスクを「バヌアツの法則」から検証した結果

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当記事は随時更新しています。

2021年12月に震度4以上の地震が9回と頻発したため、2022年に入ってからも警戒感が高まっていましたが、 1月22日に発生した日向灘を震源とする震度5強(M6.6)の地震を除けば、1 ~ 2月は比較的静かな状況でした。

ところが、3月中旬以降、まるで今まで蓄積していたエネルギーを放出するかのように、震度4以上の地震が多い状況が続いています。

地域的には、京都府南部を震源とする震度3以上の地震が、3月31日震度4(M4.3)、4月25日震度3(M4.1)、4月30日震度3(M4.2)、5月2日震度4(M4.4)と頻発しました。

また、5月2日に日向灘で発生した震度3の地震については、地震の規模を表すマグニチュードは5.0でしたので、まだまだ不気味な動きが見られます。

6月は19日に石川県能登地方を震源とする震度6弱(M5.4)の地震が発生してから、20日午前に震度5強(M5.0)、午後に震度4(M4.2)の地震が立て続けに発生しました。

7月は一旦静かな状況となりましたが、8月11日には北海道の宗谷地方北部を震源とする地震が連続して発生したこともあり、震度4以上の地震は8回発生しました。

その後、11月9日に茨城県南部を震源とする地震で2011年以来の震度5強となるM4.9の地震が発生しましたが、12月までの発生回数は比較的落ち着いた状態となっています。

(出所)https://earthquake.tenki.jp/bousai/earthquake/entries/level-4/

ところで、2022年1月22日に発生した日向灘を震源とするM6.6の地震は、M6.5以上の地震としては、1996年12月3日のM6.7の地震以来、約25年ぶりのことでした。

(出所)気象庁ホームページhttps://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/nteq.htmlより筆者作成

気象庁は、南海トラフ地震の想定震源域内である日向灘で地震が発生したものの、「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表することになっているM6.8以上の基準に該当しなかったと説明しました。

この地震の7日前にトンガ沖の海底火山フンガ・トンガ – フンガ・ハアパイ火山で1000年に1度と言われるほどの大規模な噴火が発生し、日本にも津波の影響が及びました。

フンガ・トンガ – フンガ・ハアパイ火山は、太平洋プレートがトンガ海溝・ケルマデック海溝からオーストラリアプレートの下へ沈み込んで形成された火山列の一部です。

太平洋プレートとオーストラリアプレートの境目に位置するバヌアツに地理的に近いこと、今回の大噴火の後に日向灘で地震が発生したことから、「バヌアツの法則」が話題になりました。

また、3月2日にはニュージーランド付近のケルマデック諸島でM6.8の地震が発生してから14日後の3月16日に福島県沖でM7.4(震度6強)の地震が発生し、この時も「バヌアツの法則」が話題になりました。

バヌアツの法則」というのは、バヌアツの大地震が日本の大地震の発生に影響を及ぼすという法則です。

今回は、この「バヌアツの法則」の観点から日本の地震リスクを探ってみます。

目次

「バヌアツの法則」とは

まず、南太平洋のリゾート地として有名なバヌアツの場所を以下の地図で確認しておきましょう。

バヌアツはオーストラリアの東に位置し、83の島々からなる共和制国家で、イギリス連邦加盟国です。(首都はポートビラで人口約29,000人)


(出所)外務省ホームページ

また、バヌアツは太平洋プレートとオーストラリアプレートの境目に位置しているため、地震が頻発する地域として知られています。


(出所)Wikipedia「プレート」より

2022年9月以降、バヌアツおよびその周辺で以下のようにM6.0以上の地震が多い状況が続いており、特に11月にはM7.0以上の規模の大きな地震が相次ぎました。(※黄色は、2022年12月29日午前1時34分にバヌアツで発生したM6.0の地震)

(出所)アメリカ地質調査所(USGS)および太平洋津波警報センター(PTWC)より筆者編集

バヌアツの法則」とは、バヌアツでM6以上の地震が起きるとしばらくの日数をおいて連動するように日本でも大きな地震が起きるという法則です。

よく例に挙げられるのが、以下の通りで・・

2016年4月3日   バヌアツ M6.8 → 4月14日 熊本地震 M6.5 (11日後)
2016年4月14日 バヌアツ M6.0 → 4月16日 熊本地震 M7.3  (2日後)
2018年8月22日 バヌアツ M6.7 → 9月6日  北海道胆振東部地震 M6.7 (15日後)

また、2011年2月22日にニュージーランド南島のクライストチャーチ付近でM6.3の地震が発生した後、3月11日(17日後)に東日本大震災(M9.0、震度7)が発生したことも「バヌアツの法則」(あるいは「ニュージーランドの法則」)の例として挙げられます。

2022年には、4月19日午前8時16分頃、福島県中通りを震源とする地震が発生し、茨城県城里町で震度5弱(M5.4)を記録しましたが、4月上旬にバヌアツで地震(5日 M6.0、10日 M6.3)が発生していたことから、これも「バヌアツの法則」が発動した例として挙げられています。

以下のように、2021年に発生した地震を検証すると、連動性があるように見えます。

2021年に発生した地震の検証

[1] 2021年2月10日の22時20分頃、南太平洋でM7.7の地震が発生しました。バヌアツなどで津波が観測され、2月12日新月の翌日の13日(23時8分頃)に福島県沖でM7.3(震度6強)の地震が発生しました。

[2] 2021年3月4日の22時27分頃にニュージーランド沖でM7.3、3月5日の1時53分頃にバヌアツでM6.1、2時41分にニュージーランド近辺でM7.4、4時28分頃にニュージーランド・ケルマデック諸島を震源とするM8.1の地震が立て続けに発生し、15日後の3月20日に宮城県沖でM6.9の地震(震度5強)が発生しました

[3] 2021年3月29日の満月から3日後の4月1日の18時57分頃に、ニュージーランド・ケルマデック諸島でM6.6の地震が発生し、11日後の4月12日新月の日にトカラ列島近海でM5.2(震度4)の地震が発生しました。

[4] 2021年8月18日の19時10分頃にバヌアツ諸島でM7.1の地震が発生し、4日後の8月22日満月の日に福島県沖でM5.2(震度4)の地震が発生しました。

[5]2021年10月2日にバヌアツ諸島でM7.2の地震が発生し、4日後の10月6日(当日の20時5分に新月)の2時46分頃に青森県でM5.9(震度5強)、17時13分頃に鹿児島県でM5.5(震度4)、翌7日の22時41分頃に東京・埼玉でM5.9(震度5強)の地震が発生しました。

[6]2021年10月9日にバヌアツ諸島でM7.0の地震が発生し、10月20日の満月の翌日に東海道南方沖でM5.8の地震が発生しました。この地震は震源の深さが約380kmとかなり深い所で発生した「深発地震」と呼ばれるもので、栃木県宇都宮市で震度3が観測されました。

天体サイクルと地震の関連性

2021年の日本の地震発生(震度4以上)を満月・新月のサイクルから見ると以下のようになっています。

  1月29日の満月の2日前の27日に北海道胆振地方中東部で震度4(M5.4)
  2月12日の新月の翌13日に福島県沖で震度6強(M7.3)
  3月13日の新月の翌14日に熊本県で震度4(M4.4)
  4月12日の新月の日にトカラ列島近海で震度4(M5.2)
  5月12日の新月から2日後の14日に福島県沖で震度4(M6.0)北海道日高地方中部で震度4(M4.6)
  7月10日の新月の翌11日に石川県能登半島で震度4(M4.0)
  7月24日の満月の2日後の26日に青森県東方沖で震度4(M5.1)、3日後の27日に福島県沖で震度4(M4.6)
  8月22日の満月の日に福島県沖で震度4(M5.2)
  9月21日の満月の2日前の19日に岐阜県飛騨地方で震度4(M5.0)
  10月6日の新月の日に岩手県沖で震度5強(M5.9)大隅半島東方沖で震度4(M5.5)、7日に千葉県北西部で震度5強(M5.9)
  12月4日の新月の1日前の3日に山梨県で震度4(M4.1)と震度5弱(M4.8)、和歌山県で震度5弱(M5.4)、翌5日にトカラ列島で震度4(M4.8)

の地震が発生しています。

そう言えば、上に書いた2022年4月19日に発生した福島県中通りを震源とする地震は、4月17日の満月の2日後、5月2日に発生した京都府南部を震源とする地震は、5月1日の新月の翌日でした。

以下の記事で、過去の大地震発生と満月・新月の関連性について触れていますのでご参照ください。

また、以下の事例にあるように、天王星、海王星、冥王星の逆行や、天王星の星座移動も大地震の発生に関係すると言われています。

スクロールできます
日付地震日付逆行・天王星の星座移動
2011/3/11東日本大震災(M9)3/12天王星が牡羊座に移動
2016/4/14・4/16
2016/4/17
熊本地震(M6.5・M7.3)
南米西部エクアドル(M7.7)
4/18冥王星が逆行開始
2018/5/18ニュージーランド地震(M6.2)5/15天王星が牡牛座に移動
2018/6/18大阪府北部地震(M6.1)6/19海王星が逆行開始
2018/9/6
2018/9/7
2018/9/10
北海道胆振東部地震(M6.7)
フィジー諸島(M8.1)
ニュージーランド付近(M7)
4/22〜10/1
6/19〜11/25
8/7〜2019/1/7
冥王星逆行期間
海王星逆行期間
天王星逆行期間
*スマホの場合:横スクロールでご覧ください。

天王星・海王星・冥王星の逆行期間が重なる2021年8月20日〜10月6日(※ 8月22日満月、9月7日新月、9月21日満月、10月6日新月)は、特に注意が必要な期間でしたが、上に書いたように10月6日と7日にM5.5以上の地震が計3回発生しました。

また、2022年1月3日の新月の翌4日には小笠原諸島父島近海でM6.1の地震が発生しました。

2022年1月19日に天王星の逆行期間が終りましたが、満月から4日後の22日に日向灘でM6.6の地震が発生しました。

2022年から2023年初までの天王星・海王星・冥王星の逆行期間は以下の通りです。

天王星(2021年8月20日)~ 2022年1月19日、2022年8月24日 ~ 2023年1月23日
海王星2022年6月28日 ~ 12月4日
冥王星2022年4月29日 ~ 10月9日


<参考記事>
月の引力、大地震と関係か 東大チーム(2016年9月13日 日本経済新聞)

海外のM7超の地震と火山噴火について

以上見てきたように、経験則によると太平洋プレートとオーストラリアプレートの境目に位置するバヌアツやニュージーランド近辺で地震が発生した日以降の満月・新月の前後および天王星、海王星、冥王星の逆行期間が要注意日と言えそうです。

また、海外では2021年7月下旬以降、以下のようにM7.0以上の地震が頻発しています。

7月22日 パナマ(M7.0)
7月29日 アラスカ半島(M8.2)
8月12日 フィリピン諸島(M7.2)
8月13日 南大西洋サウスサンドウィッチ諸島(M7.5)
8月14日 アラスカ半島(M7.0)
8月14日 ハイチ(M7.2)
8月18日 バヌアツ諸島(M7.1)
8月23日 南大西洋サウスサンドウィッチ諸島(M7.0)
9月8日  メキシコ(M7.4)
10月2日 バヌアツ諸島(M7.2)
10月9日 バヌアツ諸島(M7.0)
11月28日 ペルー北部(M7.4)
12月14日 インドネシア東部沖(M7.6)
12月30日 インドネシア付近(M7.3)

2022年
3月31日 ローヤリティ諸島(M7.0)
3月31日 ローヤリティ諸島(M7.2)
5月26日 ペルー南部(M7.2)
7月27日 フィリピン諸島(M7.0)
9月11日 パプアニューギニア(M7.6)
9月14日 ローヤリティ諸島(M7.0)
9月20日 メキシコ(M7.6)
9月22日 メキシコ(M7.0)
11月9日 フィジー諸島南方(M7.0)
11月11日 トンガ諸島(M7.3)
11月22日 ソロモン諸島(M7.3) 

以下に、海外と日本の大地震の発生回数をグラフにまとめました。すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、直近4か月間に海外でM7.0以上の大地震が4回以上発生している場合に、日本でも大きめの地震(震度6強以上)が発生しているように見て取れますので、今後も一層の注意が必要です。

(出所)https://earthquake.tenki.jp/bousai/earthquake/foreign-entries/https://earthquake.tenki.jp/bousai/earthquake/entries/level-6-plus/より筆者グラフ作成

2021年8月13日には、太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込むことによって形成された小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」で11年ぶり(前回は2010年2月3日)に噴火が確認されました。

さらに、9月19日には、スペイン領カナリア諸島のラ・パルマ島でクンブレビエハ火山が、1971年以来50年ぶりに噴火、23日には中米グアテマラのフエゴ山が噴火、29日に米ハワイ島のキラウエア火山にあるハレマウマウ火口が噴火、10月20日にはパプアニューギニアのマナム火山、11月30日にはフィリピンのピナツボ火山が噴火12月4日にはインドネシアのジャワ島のスメル火山が噴火しました。

2022年1月14日と15日には、冒頭に書いたトンガ沖のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山で大規模な噴火が発生しました。

また、3月8日には、パプアニューギニアのマナム火山が2021年10月に続き、再度噴火しました。5月28日には、太平洋プレートが北米プレートに沈み込んで隆起した火山群に位置するカムチャツカ半島のベズイミアニ火山で大規模な噴火が発生しました。

このベズイミアニ火山は、1952年11月のカムチャツカ地震(M9.3)が引き金となって、3年後の1955年10月に1000年ぶりとなる噴火を起こしており、近年(2010年2月、2017年12月、2019年3月、2020年10月)も活発な火山活動が続いています。

地球の内部で何らかの動きが出ていることは明らかです。

さいごに

これから最も注意が必要なのは、南海トラフ地震、相模トラフ地震そして富士山の噴火です。過去を振り返ると、地震の周期性・連動性や大地震と富士山の噴火の関連性がよくわかります。

     1703/12/31 元禄地震
     1707/10/28 宝永地震
     1707/12/16 富士山噴火(宝永大噴火)*49日後

     1854/12/23 安政東海地震
     1854/12/24 安政南海地震 *32時間後

     1923/9/1 大正関東地震(関東大震災)
     1944/12/7 昭和東南海地震
     1946/12/21 昭和南海地震 *2年後

以下に、過去の大地震と富士山の噴火をまとめましたので、ご参照ください。(※直近の年数は2021年まで

参考までに、過去の大地震と満月・新月のサイクルを調べました。

1703/12/31 元禄地震 ・・・・・ 1704/1/7の新月の7日前

1707/10/28 宝永地震 ・・・・・ 1707/10/25の新月から3日後

1854/12/23 安政東海地震 ・・・ 1854/12/19の新月から4日後

1854/12/24 安政南海地震 ・・・ 1854/12/19の新月から5日後

1923/9/1 関東大震災 ・・・・ 1923/8/26の満月から6日後

1944/12/7 昭和東南海地震 ・・ 1944/11/30の満月から7日後

1946/12/21 昭和南海地震 ・・・ 1946/12/23の新月の2日前

大地震はいつ起きるかわからないだけに、常日頃から万が一のことを想定して災害に備えておく必要があります。

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