先日、ふと大学時代のアルバイト先(パナソニック)の社歌のメロディーを急に思い出したのですが、歌詞もほとんど覚えていることにわれながら驚きました。
みなさんもふとした時に昔のできごとや歌を思い出すことがありませんか?
新しいものを見たり経験したりして脳に刺激を与えることも大切ですが、昔を思い出すことも脳の活性化に役立つそうで、高齢者の認知症の予防にも活用されているようです。
さて今回は、学生時代にやっておいて良かった「アルバイト」について振り返ってみます。
といっても、私はまだ高齢者ではないので、脳の活性化というより社会に出てから役立った点について書きます。
パナソニック(松下電器産業)のテレビ工場での経験
まず、大学2年と3年の夏休みを利用して、パナソニックのテレビ工場で1か月ほどアルバイトをしたことがあります。
大学2年の時は、ベルトコンベアで流れてくるテレビの完成品を1台ずつ機械で持ち上げて、ダンボールの底面に入れた発泡スチロールにぴったりとおさまるように梱包する作業でした。
毎回違う社員の方と息をあわせてバランスよくテレビをおろさないと、発砲スチロールにおさまりません。また、やっと慣れてきた頃に違う型のテレビに変わることもあり、見ている以上に意外とコツが必要です。
何回もやりながらコツを覚えましたが、ひとつうまくいかないとベルトコンベアにどんどんテレビがたまってしまい、無言のプレッシャーを感じました。
ここで学んだことは、「単純作業でも気を抜かずにやること」「ひとりの失敗がみんなに影響すること(=チームワークの大切さ)」です。
大学3年の時は、テレビの組立て作業をする場所で働きました。
ここでは、ベルトコンベアで流れてくるプリント基板にいくつかの電子部品を取り付ける作業ですが、もたついていると隣の人に影響が出てしまいます。また、何日もやっているうちに、指の皮膚が乾燥してはがれてしまったり・・
初日に、朝会があり社員全員で社歌を斉唱し、松下幸之助の経営理念を唱和する場面を経験しました。この時初めて、「社歌」によって社員同士の一体感を共有する仕組みがあるのを知りました。
そして、何と言っても貴重な経験は、「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助の精神や理念が脈々と引き継がれている現場に実際に身を置いたことです。
短い期間でも社会人になる前に「会社」という組織に属した経験 -「大人」の社員と一緒に社員食堂で食事をとって、大学生のわたしが聞けば何でも親切に教えてくれるという機会はこの時だからこそ持つことができたことです。
また、社員が毎日順番で3分間スピーチをしていましたが、見た目は工場で働く普通の「おじさん」でも3分で経験やエピソードをうまくまとめて話していたことに感心したのを覚えています。
年齢や環境に関係なく、自分の思いや考えを手短にポイントを押さえて伝えることは最低限必要な能力ですね。この大切さに早いうちに触れることができて良かったと思います。
マクドナルドでの経験
学生時代にマクドナルドのアルバイトというと、普通は調理や接客・レジの仕事を思い浮かべるかもしれません。
でも、私の場合は夜間(午後10時〜翌朝6時)の清掃作業(たしか「メンテナンス作業」と呼んでいました)を週2〜3回、1年半ほど経験しました。
徹夜作業ですので、若い時にしかできませんね。作業が終わってから大学の授業にも出たりしていました(もちろん、睡魔がおそってくるときもありましたが・・)。
シャッターを閉めてから、厨房内の床、シンク、客席の掃除、ゴミ出し、バンズの搬入など見えるところ、見えないところをすべてきれいにします。
おかげで、家のそうじで大変な部分は今でもやっていますので、妻にも感謝されています。
この経験を教訓として思い出してみると、「裏方の仕事があってはじめて華やかな仕事が成り立っている」ということになります。
年賀状の配達、ゲーム機の検査
あとは、地元の郵便局で年賀状の配達アルバイト。これは短期間でしたが、1月2日は年賀状の配達をしないということをその時はじめて知りましたね・・
また、おもしろかったアルバイトとしては、ゲーム機(たぶんナムコ製だったかも)の検品作業で、実際にゲームをしながら(楽しみながら)、動作を確認する作業です。
元々ゲーム機は得意ではなかったのですが、毎日続けているとさすがにコツをつかんでうまくできるように。笑 ある時ゲームに夢中になって、はっと人の気配を感じて振り返ったら社長がじっと見ていて・・
とっさに「問題ないようです」と言ったわたしに、社長はうれしそうな目で答えてくれたのを今でも覚えています。
さいごに
若い時にはアルバイトでも海外旅行でも何でも経験しておくことが大事です。
よくインターンとアルバイトの違いは、責任の度合いや就職の有利さにあると言われますが、本人の意識次第でアルバイトも自分を磨く貴重な経験になります。
お金をかせぐという目的だけでなく、学生だけのなまぬるい世界から少しでも早く抜け出して、組織の中で社会の成り立ちの一端(たとえば、モノづくりの世界で働く人たちの重要な役割)を知ったり、年上の人たちに触れることで会社の上司とのつきあいのヒントを得たり・・
学生の時は気づきにくいかもしれませんが、あとで振り返ってみるといくらでも将来の基礎を作ることができる時間、そしてチャンスはいくらでもころがっているんだとつくづく感じさせられます。
もちろんこれからの時代は年齢に関係なく、もっといろいろなチャンスに触れることができる世界が待っているでしょう。高齢者になっても「今度はどんな仕事をしようかな」とワクワクする人生を送りたいですね。