昨年から増え始めた大企業による黒字リストラに加えて、年初からのコロナショックによる経営環境や業績の悪化によって、働く環境はより深刻な状況になってきました。
大学を出て大企業に勤めれば終身雇用で守られ定年退職のレールに乗って勝ち組、という時代の終焉です。コロナが落ち着いて元の生活に戻る・・なんていうのは幻想。
最近、大企業でも早期退職のターゲットとなる年齢層を下げていることを見る限り、もう過去に戻ることはありません。
これからはどの世代でも、人生の荒波や落とし穴をいかにうまく乗り切るかが問われてきます。
今回は、これからの時代を乗り切るための転職と仕事選びについて書いていきます。
心から愛着をおぼえる職業を選ぶ
大学を出て就職するときは、自分がやりたい職業という点よりも、会社の知名度で選んでしまう傾向があります。
特に、大企業というブランドは、個人の能力はどうであれ「有名」というだけで外部から見たらそこで働く人に信頼感を与えてくれます。でも、これが入社してからの落とし穴になるのです。
自分と同じレベル以上の能力を持つ人間が多い組織の中で、出世する人間は同期で一握り。管理職になるまではとにかく全力疾走で出世競争をして、途中で疲れた人はストレスをかかえて体も壊し、一番お金がかかるときに出向やリストラの対象に・・管理職になっても競争は続き、運良く部長まで出世できても50代半ばで役職定年を迎えて給料も大幅ダウン、部下もなし・・これが会社人生の終盤戦の落とし穴ですね。
以下のブログの「億万長者の八か条」の中に「単にユニークで高収益というだけでなく、心から愛着をおぼえる職業を選ぶ」というのがあります。
「心から愛着をおぼえる職業」は、どうやって見つけたらいいのか。ひとつのヒントは、小学生のときに得意だったこと、時間を忘れるくらい夢中になったことに関係する職業を探すことです。
そういう職業であれば、ストレスなく働くことができ、たとえ困難にぶつかっても乗り越える意欲がわいてくるからです。
自分が求められる場所へ身をおこう
次に重要なことは、「自分が求められている働き場所を選ぶ」ことです。
大切なのは、会社名ではなく、求められる働き場所を選ぶことですね。つまり、会社の規模は関係なく、中小企業も含めて選択肢に入れるべきです。
中国の故事成語に「鶏口となるも牛後となるなかれ」(=鶏口牛後)という言葉があります。これは、会社に当てはめると、「大きな組織の中でひとつの歯車として上司に仕えながら働くよりも、小さな組織のトップまたは先頭集団になって自分の能力を十分に発揮しながら伸び伸びと働く方が賢明」という意味になります。
私の場合は、外資系企業に転職したときに、この言葉をかみしめながら働きました。外資系企業と言っても日本では単なる1支店に過ぎず、日本人にとっては知名度も低く小さな組織です。
それでも、海外の本社からの充実したサポートやトレーニングがあり、個人個人が持てる力を最大限に(おそらく120%)発揮しながら日本でのシェア拡大を目指して競合他社と戦っていました。
私が求められた部分は、実務経験と顧客が法人でしたので信頼感を与えることができるある程度の年齢でした。
個人の力を期待され、それに応えるために全力を尽くして結果を出す、そしてその結果に伴ってお金が入る、これこそが働きがいですね。
さいごに
現在、私は日本の中小企業で学生のときに夢中になったアートの分野に関わりながら働いています。
日本の小さなマーケットから飛び出してグローバルにビジネスを展開していく中で、今までのいろいろな場面での経験が大いに役立っていることを実感しています。
もし今、学生時代にタイムスリップできるのであれば、自分のやりたい分野、関心を持つ分野のトップ企業をまず目指します。これは、まず社会人としての作法や仕事の回し方を基礎として身につけることと、自分の経歴に箔をつけるためです。
そして、2~3年働いた後、外資に転職して日系企業とは異なるプレッシャーの中での仕事のしかた、外国人とのコミュニケーション・交渉のしかたを学びます。そこでもっと鍛えたいと思えば、もう1社別の外資にステップアップしてお金を稼ぎます。
体力的に無理が効く30代前半までに、このまま会社勤めを続けるか、それともある程度蓄えた資金で起業・独立するかを決めます。ここで、起業・独立の道を選択したら外資で鍛えた交渉力でグローバル市場に打って出る・・
これからの時代は、リスクをとりながらも自分が立ち上げた小さな会社のトップとして自分のやりたい分野で思う存分働くことが「鶏口牛後」の真の実践になりそうですね。
みなさんも自分をじっくりと見つめ直してみてください。自分が好きなこと、得意な分野が必ず何か1つは見つかるはずです。